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2007/06/27(Wed)

憲法25条の生存権について

 標記のテーマに関するなむさんの記事に補足して、整理してみたいと思います。

 生存権とは、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利です(憲法25条)。
 この憲法25条の法的性質については、ご承知のように争いあるところです。
 学説の対立とは、必ず対立する利益を背景としていますので、そこを汲み取ってもらえればと思います。

 プログラム規定説とは、憲法25条は国民の生存を確保すべき政治的・道義的義務を国家に課したにすぎないとする説です。この政治的・道義的義務というのがミソです。


 日本国憲法は、自由国家原理を基調しながら社会国家原理を加味した考えに立脚しています。
 しかし、このプログラム規定説は、古い資本主義経済の自助の原理が想定されています。
 つまり、まずは自分のことは自分でやれ、という考えが支配しています。

 また、この自助の原理を裏返すと、生存権の実現には国家予算の支出が必要となり、財政政策の判断は国会内閣の政治部門の裁量に属することなので、その時代に要求される最低限度の生活水準をどう設定するかは国の財布と相談しながら決めなければならなず、積極的に国に法的義務を課すという解釈論はとり難いという背景があります。
 このように、日本国憲法が制定された当初は理念は立派でしたが、まだ生存権の観念が未成熟であったとように思います。

 しかし、戦後わが国の資本主義経済が成熟すると、貧困や格差が露呈し、経済的弱者の救済が叫ばれるようになりました。
 この背景を受けて、25条の法的権利性を正面から認め、国の法的義務を課したものと解し、ただそれは抽象的な権利であって、生存権を具体化する法律によって初めて具体的な権利となる、とする説が登場しました。(抽象的権利説)

 なお、具体的権利説は、この抽象的権利説をベースとしており、異なる点は、国の立法不作為違憲確認訴訟の提起を認める考えです。
 つまり、国が社会保障立法を作ろうと思えばできるのに、わざと何年も放置しているような場合は、その怠慢を捉えて憲法訴訟ができるとするものです。
 通説判例は抽象的権利説だと思いますので、試験対策上は具体的権利説まで踏み込む必要はないと考えます。

 このように学説の変遷は、その時代のニーズから新たな解釈論が発生する中で進化して行くわけです。


 最後に、リーディングケースたる朝日訴訟と、堀木訴訟の判決要旨の重要部分を掲載しておきます。
 ガンバッテください!



 朝日訴訟 憲法25条1項ははすべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように国政を運営すべきことを国の責務として宣言したにとどまり、直接個々の国民に具体的権利を賦与したものではない。
 何が健康で文化的な最低限度の生活であるかの認定判断は、厚生大臣の合目的的な裁量に委されている。


 堀木訴訟 このように、憲法二五条の規定は、国権の作用に対し、一定の目的を設定しその実現のための積極的な発動を期待するという性質のものである。しかも、右規定にいう「健康で文化的な最低限度の生活」なるものは、きわめて抽象的・相対的な概念であつて、その具体的内容は、その時々における文化の発達の程度、経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるとともに、右規定を現実の立法として具体化するに当たつては、国の財政事情を無視することができず、また、多方面にわたる複雑多様な、しかも高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とするものである。したがつて、憲法二五条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合を除き、裁判所が審査判断するのに適しない事柄であるといわなければならない。







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コメント ▼


    
  • おはようございます☆

    今日も暑くなりそうですが頑張ります~。
    ランキングちゃんと登録できてて良かったですv-410
    よろしくお願いしますe-466

    憲法って、あのシンプルな条文にいろいろな意味が込められていて…っていうか、時代の変遷とともにいろいろな意味をこめられて(笑)奥深いですよね。
    判例問題は好きです。物語風でv-290
    背景を知る為に参考になりました。
    ありがとうございますe-466

  • 流石

    どこのものより詳しく、どこのものより解り易い解説ありがとうございます。
    そういえば、堀木訴訟の時国会では法改正して整備しよう、という意見が多数を占めはじめてましたが、裁判所が合憲の判決を出したと同時にこの法改正も立ち消えになってしまったんですよね。
    その時ちゃんとした権利として認めれていたなら、救済される人が多くいたでしょうね。

  • 管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • さとみんみんさんへ

     ランキング参加ありがとうございます。
     いっぱい、来てくださいね(笑)。

     判例の事案とか見ると、よくわかるでしょう?
     法律学も、何も難しい世界の話をしているんではなくて、実際あった事件を基にして議論しているわけです。
     ただ、説明の道具として、どうしても難しい概念を使わないと意味が正確に伝わらないものだから技術的になるのです。
     外国語と思ってもらって結構です(笑)。


     ガンバッテください!

  • なむさんへ

     ありがとうございます。
     お役に立てて嬉しいです。


     裁判所は、ご承知の通り、基本的に司法消極主義の立場です。
     表現の自由などの精神的自由権の領域のときだけ、積極主義に出ます(二重の基準論)。

     生存権みたいな、専門技術的な領域は、裁判所は明らかに違憲と思われる場合を除き逃げます(笑)。

     いつか、このテーマについても書いてみたいと思います。

     勉強、ガンバッテください!

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